Love it! And you will too.

ドラマは素晴らしいです。ですが字幕がおかしい所が多過ぎる。日本語の文章になぜ「@」などが入るのででしょう。ドラマが素晴らしいだけに残念でなりません。

特に低評価をする方の感想を見ると、マッドメンは人を選ぶドラマなのかなと思います。マッドメンの大きなテーマは「ドン・ドレイパーよ、どこに行く」という感じだと受け取りました。ドンはドンであっても、ドンでなくても悲しい運命にあります。豪奢な世界に君臨しても、魅力的な女性を抱いても満たされない虚しさに満ちているのです。ドン以外の人間も実存的な悩みを抱えていますが、明確に吐露しない場合が多く、繊細なセリフや演出がなされているため、同様の実体験なしではわかりにくいのかもしれません。また「ドンは見境なく浮気するから悪」という方は多いかと思います。しかしドンからすれば「何者かもわからない俺を君はなぜ愛せる？」という疑問は2度の結婚・離婚を経験しても、拭えなかったのではないでしょうか。あるブログでは「最終シーズンの最終回は自殺した同僚の幽霊にドンが殺されたら面白かった」と主張されていましたが、まったくの意味不明で面白くとも何ともありません。むしろ当該ブログを読んで、同じ視聴者としてわかり合えない断絶を感じてしまいました。最終シーズンの最終回はあるCFが流れて終わりますが、ドンの魂の彷徨が行きついた先はヒッピー的で、抵抗があった方もいるかもしれません。しかし弱肉強食の広告業界の男が、真逆の価値観のヒッピー的なものと手を取り、断絶を乗り越えて作品として結晶化させたことに意味があるのだと思います。また当該CFはローマで撮影されたようですが、当商品の広告モデルを務めた経験があり、ドンと共にローマに旅行したことがある最初の妻ベティに捧げられたものともいわれています。そう考えるとやはりこのラストは、さらに意味深いものに思えるでしょう。陳腐で的外れの最終回を創作する方よりも、ハーシーに対するプレゼンにおけるドンの暴走を語り合える方が増えることを願ってやみません。

別のサイトで途中のシーズンまでは観ていたので、続きが観れると思って各エピソードの説明文でどの辺まで観たか確かめようと思いましたが、タイトルも説明文もGoogle翻訳並みにおかしなことになっていて訳がわかりません。

米国企業は，壁際に個室が並び，そこは管理職の部屋になります。私も米国企業に入社し，出張で本社訪問の際の滞在・職務のためにそんな個室に案内され，案内役の方に二度見されたことを思い出します。給与も就業時間も違い，「用が無いなら遊びに行けば？」とアチラのExecutiveに言われます。ドラマ当時もオフィスに酒瓶が溢れていたのではなく，エグゼクティブの部屋にのみ用意されていて，他の職員は管理職に勧められなければ飲まなかった。給与（ドラマで主人公と秘書の金額が何度か出てきますが，日本と違い結構差があります）だけではなく，そうした待遇の差もあって，コネ入社役が「更に昇進させろ」と脅迫までします。充分に待遇は良いと思いますが，待遇の差を実力の差と勘違いする人は日米変わりは無く存在するのでしょう。主人公は（未だ存在しない）明日を生きる，世間を外観する立場で仕事ができるが，自分は違うと疎外感を抱く人物像です。主人公の最初の彼女は，同じ概念を持ちながら社会的立場や決裁権を持たないアーティスト（後にヒッピーと判明），次の彼女は同じ概念を持ち同じ様な社会的立場を持つ経営者家族でした。主人公の奥様は普通の人，この描き分けは面白く，元モデルとしての優越感を隠しつつ支配されている感じです。主人公の同僚は，主人公以外は「男性はこうあるべき，女性はこうあるべき」といったステレオタイプの強さを描いています。職位を利用して異性と関係を持ったりするのですが，主人公は意外にそうではありません。能力を発揮する秘書には，女性という立場に甘えず文書で提案しろと忠告します。一方コネ入社の若手エグゼクティブは容赦なく切り捨てます。主人公のこうした観点，仕事の進め方，責任範囲を顧客に伝える態度は随所に見られ，仕事に対する正々堂々とした態度にはスカッとした感情を抱きます。主人公の様な人物は勘違いされることが多く，ポジションだけで努力がない，部下の努力を搾取している，と思われがちですが事実は真逆で彼が全てを主導しています。そうした勘違いが発生する様子も描かれていて面白かったです。

2007年スタートでありながら、舞台は60年代、広告会社の有能営業マン達を設定しており、当時のアメリカの風刺や歴史的背景と、ファッション、音楽やアメリカ会社の組織、買収制度、撮影方法なども見所です。また、アメリカドラマには、テロや事件、医療、法律モノが多い中では非常に珍しく、広告会社という点で、また違った表現のビジネス英語も参考になります。主人公のドン ドレイパーは実は過去に秘密を抱えており、徐々に明らかになっていきますが、元々明るい性格ではありません。有能な秘書と初めは地味なペギーのやり取り、ドンとペギーの仕事上でのプラトニックな信頼関係。このドラマで1番大きく成長、変化するのは彼女だと思います。最初のラッキーストライクは、タバコの草を燻している。という点で、「スモークテッド」=他社とは違う健康に気を使った製造法である。というような表現で広告を出せるという話です。シーズン初期は、タバコと、お酒まみれの職場です。当時のアメリカを知る意味ではとても参考になります。ファッションも必見です。エミー賞では6部門、ゴールデングローブ賞は3年連続獲得しています。